「小さな歌」私がまだウィーン少年合唱団員だったころ
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2025年1月10日発売! ゲオルク・シュピーゲルホーファーの『小さな歌』は、彼がウィーン少年合唱団員として過ごした日々を鮮やかに描いた回想録である。著者の目を通して語られるこの物語は、音楽と共に過ごした特別な時間が、いかに人生に深い影響を与えるかを静かに、しかし力強く伝えている。 本書は単なる音楽の舞台裏の記録ではない。シュピーゲルホーファーは、合唱団という小さな社会の中で経験した喜びや葛藤、そして成長を通して、人間的な深みと感動を読者に届けている。特に、ジョン・F・ケネディ夫妻の前での演奏や、ヨーロッパ、アメリカでのツアー、日本公演におけるエピソードは、音楽が国境を越えて人々の心を繋ぐ力を実感させる内容となっている。 また、音楽を通じて育まれた友情や、少年時代特有の感性が本書の特徴である。大人の視点では見過ごされがちな細やかな感情や瞬間の大切さが、シュピーゲルホーファーの言葉を通じて鮮やかに蘇る。その一方で、冷戦時代の複雑な政治背景が合唱団の活動に与えた影響についても触れられており、歴史的な視点からも興味深い一冊となっている。 特筆すべき点は、少年時代に音楽が彼の人生に与えた影響だけでなく、その後の人生にどのように繋がっているかが丁寧に描かれていることである。少年合唱団員としての経験が、著者の人生観をいかに形作ったのかが詳細に語られている。また、現代のウィーン少年合唱団に対するエールも込められており、長い歴史を持つ合唱団の継続的な挑戦と情熱が伝わってくる。 本書は、音楽が持つ普遍的な力を再確認させる一冊である。音楽ファンだけでなく、少年時代の成長物語や歴史的背景に興味を持つ読者にもおすすめである。豊かな音楽と感情の交差点で紡がれた本書は、読者の心に響く感動をもたらしてくれるだろう。